人知れず、夜泣き。

 「何?? オレの売り方に問題でも??」

 木内のしぶしぶ感が若干イラっとする為、開き直ってみせる。
 
 オレも大概タチが悪い。

 「全然」

 「嘘吐け。 本当は軽蔑してるくせに」

 更に絡む。 今日のオレは、なかなかウザイ。 ・・・寝不足だからかな。

 「してませんよ、本当に。 『歌が上手いから歌手になる。 スタイルが良いからモデルになる。 綺麗な顔をフル活用で販売をする』同じ事だと思うんですけど・・・違いますかね??」
 
 木内の言う事は何かちょっと違う気もするが・・・。

 木内はサラっとオレの顔を『綺麗』と言ってくれた。

 木内は貧乏臭い女だけど、オレに嬉しい言葉をたくさんくれる。

 ・・・嫌いじゃないかも。

 むしろ、居心地が良い。
< 30 / 161 >

この作品をシェア

pagetop