人知れず、夜泣き。


 「・・・弁当、作ってくれたんだ。 ・・・朝メシも」

 いつもの場所に座った悟が、ワタシの作った朝ゴハンをぼんやり眺めた。

 「・・・うん。 引っ越すまでは、いつも通りでいたいなと思って。 なるべく早く部屋を見つけて出て行くので、それまでの間、宜しくお願いします」

 無理矢理笑顔を作って頭を下げると、悟は『うん』とだけ言ってお味噌汁を啜った。

 ・・・それだけか。 他に言う事、ないんだろうな。

 悟にとって、やっぱりワタシはただの同居人にすぎなかったんだ。

 ワタシがいなくなることに、淋しさも悲しさもないのだろう。

 ワタシはなんて憐れなのだろう。

 早く新しい部屋を見つけよう。
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