人知れず、夜泣き。


 「で、次はいつお弁当作ってくれる?? オレらのシフトが被る日、いつだろ??」

 橘さんがスマホでスケジュールを確認し出した。

 なんだかんだ橘さんは、ワタシの努力はどうでも良いが、ワタシの作るお弁当は好きでいてくれている様だ。

 「別にシフトが被ってなくても、ワタシがお休みの日じゃなければ作ってきますよ。 あんなお弁当で良いって言うなら・・・」

 普通のお弁当でいいなら、いくらでも作りますよ。

 「イヤ、一緒に休憩入れる日じゃないと感想言えないじゃん」

 橘さんはそう言うが、『一味足りない』とか『これを加えた方が美味しくなる』とか言うわけでもないくせに。

 橘さんが言いたいのは感想じゃない。

 「・・・感想じゃなくてダメ出しを言いたいんですよね??」

 「卑屈!! 木内さん、振られて卑屈になっちゃってるよ!!」

 橘さんに、出来たばかりの傷口を明るく抉られた。
 
 でもまぁ、しんみりされるよりいいか。

 ・・・なんか、誤解してたかも。

 橘さん、話し易い。
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