人知れず、夜泣き。
 
 「・・・橘くん、今シゴト中だよね??」

 『手伝ってあげるって言ってんじゃん。 腹痛いって言って便所にいるに決まってんじゃん。 手伝ってあげるって言ってんじゃん。 木内さんのせいでウンコしまくってるって思われんじゃん。 手伝ってあげるって言ってんじゃん』

 橘くんが、昔の壊れた機械の様に、同じ言葉を繰り返す。

 ・・・てか、オイ。

 「うっとうしいな!! 何でそんなに手伝いたいの!??」

 『手伝ったご褒美にあったかいゴハン作って欲しいからに決まってんじゃん。 手伝ってあげるって言ってんじゃん』

 橘くんは、こうして女心を掴んできたのだろう。

 可愛くて、人を喜ばせる様な言葉を急に挟んでくるから、

 「・・・手伝ってくださいな 」

 橘くんに、冷めたお弁当じゃなくて、あったかいままの料理を食べて欲しいと思ってしまうではないか。

 『うん。 手伝ってあげる』

 橘くんが、満足した様に連呼をやめた。
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