人知れず、夜泣き。


 立ち上がろうとした時、

 「どうぞ」

 目の前に『ニョキ』っとペットボトルのお茶が現れた。

 見上げると、『早く受け取れよ』と言わんばかりの橘さんがワタシを見下ろしていた。

 「あ・・・どうも。 あの、大丈夫ですか??」

 とりあえずお茶を受け取る。
 
 「何が??」

 どこも具合の感じは見受けられない橘さんは、缶コーヒーの蓋を開け一口含んだ。

 「イヤ・・・なかなか戻って来ないから、お腹痛いのかと・・・」

 「だから、そのお茶とか買いに行ってたんだよね??」

 『バカじゃないの??』という視線を落としてくる橘さん。

 ・・・心配して損した。
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