人知れず、夜泣き。
垂れる。
-------引越しの次の日、木内がシゴトを休んだ。
店長の話によると、風邪を引いたとの事。
昨日、元気に酒まで飲んでおいて何やってんだ、木内。
昼休み、木内に電話を掛ける。
『・・・ハイ』
電話の向こうから、木内の力ない声がした。
「昨日、元気だったじゃん。 どうした、突然」
『・・・風邪ってね、罹った翌々日に発症するんだってさ。 ・・・てゆーか、ごめん。 何気に橘くんに撒き散らしたかも、昨日』
木内は余程しんどいのか、時折『はぁはぁ』と呼吸を乱していた。
「オレ、そんな軟弱じゃないんで。 つーか、腹出して寝てたんじゃないの??」
『引っ越すまでソファーで寝てたから・・・。 ・・・あのさ、ケンカ売るのは元気な時にしてくれないかな。 今日、無理』
オレの話に全然乗ってきてくれない木内。
ヤバイ。 木内の声、本気トーンだ。 まじで辛いヤツだ。
つーか、振られたうえにソファーで寝かされてんなよ、木内。
一応女のコだろうが。
「熱、計った?? 医者には行った??」
『体温計・・・買ってなくて。 お医者さんにはこれから行く』
「オレ、早退するわ。 ちょっと待ってて。 医者連れてってやるから」
だって木内、ケチ臭いからタクシーも使わずに歩いて行きそうだし。
超心配。
電話を切って木内を迎えに行こうとすると、