いとしいあなたに幸福を
「………」

「…私は結局、いつになっても人を上手く愛することが出来なかった。お前のためと想ってやってきたことも、お前を苦しめていただけだったのだから……ごめんね、周」

初めて聞く、母からの謝罪。

それを受けた周は、これ以上何も言うことが出来なくて口を閉ざした。

意気消沈した母の顔をまともに見れず、俯いたまま逃げるようにその場を立ち去った。



――それから数日後。

厘は予(かね)てより進行していた病の影響により、眠るように息を引き取った。





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