いとしいあなたに幸福を
すると、まるで泣き止む気配のなさそうだった京が少し、泣き声を弱めたように見えた。

「あら、あら。愛ちゃんが撫でてあげたら何だか嬉しそうよ」

「えっ…」

「だってほら愛ちゃん、もっと撫でてあげてみて」

おずおずともう一度京を撫でてみると、京はまだぐずついてはいたが泣き声を上げるのを止めた。

「まあ…こんなこと、初めてよ」

そのまま撫で続けやると、京はすっかり落ち着きを取り戻した。

「…大丈夫、寂しくないよ」

そう優しく言い聞かせてやると、京の空色の眼がじっと愛梨を見つめた。

「…お父さんに抱っこして欲しいのね」

「愛ちゃん…?」

根拠はないけれど、京がそう思っているような気がして思わずそう呟いていた。

ずっと撫で続けているうちに、やがて京はゆっくりと眠りに落ちた。

「まあ…眠ってしまわれたわ」

「京様、都様にそっくり」

だから周はつらいのか。

京と向き合うのにはまだ、時間が要るのか。

だったら――
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