いとしいあなたに幸福を
「周!!」
不意に、扉の向こうから静寂を切り裂く怒声が飛んできた。
この声は…確か、悠梨か。
「おい周、聴こえてるか!?」
聴こえてるよ、悠梨。
でも、返事をする気が起こらないんだ。
「いい加減に、出て来いよ…!みんなお前のことを心配してるんだぞ…?!」
みんな……みんな?
誰が?
誰を、心配している?
“周”という一人の人間をか。
それとも厘の子として“領主を継ぐ”人間のことを?
「周…!」
どちらにしても、もうこれ以上、自分と関わり合いにはならないでくれ。
俺のせいで誰かが傷付いたり、いなくなってしまうのはもう嫌なんだ。
「お前がいたから、俺は今此処にいるんだぞ…!?お前がいなかったら俺はあの日、死んでたかも知れない…!!俺だけじゃない、愛梨も俺も、お前のお陰で今この春雷にいられるんだぞ!!」
…愛梨。
嘗て自分が心を寄せた、少女。
不意に、扉の向こうから静寂を切り裂く怒声が飛んできた。
この声は…確か、悠梨か。
「おい周、聴こえてるか!?」
聴こえてるよ、悠梨。
でも、返事をする気が起こらないんだ。
「いい加減に、出て来いよ…!みんなお前のことを心配してるんだぞ…?!」
みんな……みんな?
誰が?
誰を、心配している?
“周”という一人の人間をか。
それとも厘の子として“領主を継ぐ”人間のことを?
「周…!」
どちらにしても、もうこれ以上、自分と関わり合いにはならないでくれ。
俺のせいで誰かが傷付いたり、いなくなってしまうのはもう嫌なんだ。
「お前がいたから、俺は今此処にいるんだぞ…!?お前がいなかったら俺はあの日、死んでたかも知れない…!!俺だけじゃない、愛梨も俺も、お前のお陰で今この春雷にいられるんだぞ!!」
…愛梨。
嘗て自分が心を寄せた、少女。