いとしいあなたに幸福を
08 紫煙-しえん-
「おはよう、京くん」
愛梨は朝一番に京の元へ向かうと、揺り籠の中で寝息を立てる京にこそりと声を掛けた。
「わたし、一生懸命頑張るからね」
ふわふわと柔らかい髪を撫でて、微笑み掛ける。
次いで小さな掌に触れると、その細い指に自身の指先を握られた。
「あ…」
愛梨はこの子がいとおしくて仕方なかった。
自分の子ではないのに、と悠梨は言っていたが――それは愛梨にとってあまり重要なことではない。
周の子だからとか、そういうことでもなく。
もしも寂しがって泣いている子がいて、自分が何とかしてあげられるのなら、きっと力になってあげたくなる。
だから京がこの腕に抱かれて泣き止んでくれた瞬間、愛梨はこの子をずっと守ってやりたいと思った。
「愛ちゃん、そろそろ京様が目を覚まされる頃だわ。お腹を空かせて起きる筈だから、今のうちに準備をして差しあげましょうね」
背後から咲良にそう声を掛けられ、ゆっくりと顔を上げる。
「はいっ」
愛梨はそっと京の掌から逃れると、張り切って咲良の後に続いた。
――すると、廊下の方から何やら騒がしい声や足音が聞こえてくる。
「…何かしら?京様が眠ってらっしゃるのに。愛ちゃん、ちょっと様子を見てきてくれる?」
「あ、はい」
愛梨は朝一番に京の元へ向かうと、揺り籠の中で寝息を立てる京にこそりと声を掛けた。
「わたし、一生懸命頑張るからね」
ふわふわと柔らかい髪を撫でて、微笑み掛ける。
次いで小さな掌に触れると、その細い指に自身の指先を握られた。
「あ…」
愛梨はこの子がいとおしくて仕方なかった。
自分の子ではないのに、と悠梨は言っていたが――それは愛梨にとってあまり重要なことではない。
周の子だからとか、そういうことでもなく。
もしも寂しがって泣いている子がいて、自分が何とかしてあげられるのなら、きっと力になってあげたくなる。
だから京がこの腕に抱かれて泣き止んでくれた瞬間、愛梨はこの子をずっと守ってやりたいと思った。
「愛ちゃん、そろそろ京様が目を覚まされる頃だわ。お腹を空かせて起きる筈だから、今のうちに準備をして差しあげましょうね」
背後から咲良にそう声を掛けられ、ゆっくりと顔を上げる。
「はいっ」
愛梨はそっと京の掌から逃れると、張り切って咲良の後に続いた。
――すると、廊下の方から何やら騒がしい声や足音が聞こえてくる。
「…何かしら?京様が眠ってらっしゃるのに。愛ちゃん、ちょっと様子を見てきてくれる?」
「あ、はい」