いとしいあなたに幸福を
「……周さん、そんなこと言わないで。みんな周さんのことが好きだから、周さんが元気になってくれたら嬉しいの」

「愛ちゃん」

やはり周は、愛梨の眼を見なかった。

伏し目がちに憂いを含んだ眼で、自身の手元をじっと見つめている。

「…まだみんな、俺を必要としてくれてるのか」

「当たり前だろ。気持ち悪いこと言ってないで、取り敢えず食って元気になれよ。大人しいお前なんてらしくないぜ」

「ああ…そう、だな」

周は小さく頷いた。

――少しずつでもいい。

周が以前のような姿を取り戻してくれれば。

そして京の元へ、足を運んでくれるようになってくれれば――


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