いとしいあなたに幸福を
だからこれ以上、誰かと触れ合うのが怖くなったんだ。

でも、悠梨はまだ自分が必要としている人がいるんだと教えてくれた。

こんな自分に、悠梨と愛梨は救われたんだと。

その二人が、自分が不甲斐ないばかりに危険な目に遭っているかも知れない。

「そんなこと、させるか…」

都を守ってやれなかった分、せめてあの二人だけでも自分の手で守らなければ。

「咲良。京を、頼む」

「はっ…はい!」

「それから、陽司に動ける奴らは全員出られるよう準備させとけって言っといてくれ」

周は咲良に息子を託すと、再び邸を飛び出した。





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