いとしいあなたに幸福を
「…!!」

嫌な予感は、前々からしていた。

きっと、これはその予感が的中した結果だ。

「くそっ…!」

詳細を報告しに入室した部下と入れ替わりに、周は部屋を飛び出した。

「わっ…若様!?」

擦れ違いざまに部下の青年から驚いたように呼び掛けられたが、周は足を止めなかった。

「構わないわ、続けて」

「は、はっ…」

青年は戸惑いを隠し切れないまま厘の前に方膝を着いた。

「現状、集落から生存者は確認出来ておりません。いくつかの家屋からは争った形跡が見られます…一連の行方不明の件との関連性は 調査中で…――」



「っ陽司!!」

「は、はいっっ?!」

周が勢い良く扉を開け放つと、室内で待機していた陽司が驚いた余り勢い良く立ち上がった。

荒々しい呼吸を整えながら、周は半ば睨み付けるかのように陽司を見上げる。

「行くぞ!!」

「へっ?ど、どちらへ?」
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