いとしいあなたに幸福を
「っ…君みたいな素敵な女の子に好かれてるんなら、嬉しいよっ!」

自身を卑下する愛梨に、周は力一杯首を振って見せる。

すると愛梨は弾かれたように顔を上げた。

「…でも俺は……っ君の相手には相応しくない。都合のいいときにばかり君に頼って、こんなことしか言えないのは申し訳ないが…」

「…周さん」

「京にはもう少し大きくなったら、きちんと都のことを話して聞かせる。それまではまだ、君を縛り付けてしまうことになるけど……ごめん、愛ちゃん」

すると愛梨は、寂しそうに微笑んで俯いた。

「わたし…都様が大好きなんです。お二人の宝物である、京くんのことも……だから周さん、謝らないで」

「でも、俺は…君に幸せになって欲しい。いつまでも俺みたいな奴の傍にいても、君は幸せになれないよ」

だから早く俺のことなんか忘れて――君のことを大事にしてくれる恋人を見付けて欲しい。

「…わたし、幸せですよ」

「愛ちゃん」

「周さんの傍にいられるだけで、わたしは幸せなんです。だから…傍にいさせてください」

どうしてだ。

俺は君に何もしてあげられない。

弱い俺は優しい君に甘えてしまう。

なのに、どうして傍にいてくれるんだ。

「……周さん、好きです。たとえ貴方の心がわたしに向いていなくても…それでも、好きなんです」
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