いとしいあなたに幸福を
「愛ちゃん、俺はっ…」
――俺も、君が好きだ。
そう言って愛梨を抱き締めてあげられたら、どんなにいいだろう。
素直になれればどんなに楽だろう。
だけど、それじゃ君のためにならないんだ。
君に好きだと言われて、心底嬉しい。
君が好きだから、君の想いには応えられない。
「…愛ちゃん、ごめん」
胸が痛むのを堪えてそう告げると、愛梨は笑って頷いた。
「……わたしこそ、困らせてしまってすみません。今わたしが言ったこと…忘れてください」
すると京が、心配げに愛梨の顔を見上げて声を上げる。
「…あいちゃん?」
「京くん、わたしのこと心配してくれたのね。ありがとう」
愛梨は屈み込んで、京の小さな身体を優しく抱き締めた。
そのとき愛梨がこそりと涙を拭ったことに、周は気が付いた。
ああ、また泣かせちまった…――
+ + +
――俺も、君が好きだ。
そう言って愛梨を抱き締めてあげられたら、どんなにいいだろう。
素直になれればどんなに楽だろう。
だけど、それじゃ君のためにならないんだ。
君に好きだと言われて、心底嬉しい。
君が好きだから、君の想いには応えられない。
「…愛ちゃん、ごめん」
胸が痛むのを堪えてそう告げると、愛梨は笑って頷いた。
「……わたしこそ、困らせてしまってすみません。今わたしが言ったこと…忘れてください」
すると京が、心配げに愛梨の顔を見上げて声を上げる。
「…あいちゃん?」
「京くん、わたしのこと心配してくれたのね。ありがとう」
愛梨は屈み込んで、京の小さな身体を優しく抱き締めた。
そのとき愛梨がこそりと涙を拭ったことに、周は気が付いた。
ああ、また泣かせちまった…――
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