いとしいあなたに幸福を
下手なことは言えない。
かと言って、子供騙しの嘘を言うのも気が引ける。
だが、周は今もやはり再婚するつもりはないと言っている。
この子に兄弟が出来る可能性は、このままならば非常に低い。
「…父ちゃんに一度、お願いしてみたらどうだ?」
「父さまに?」
「そうだよ。お前の兄弟はお前の父ちゃんじゃないと作れないんだからな」
可愛い息子から直接ねだられれば、流石の周も再婚相手を探す気になるかも知れない。
(そうすれば、愛梨も)
――結局愛梨は、未だに京の世話役を続けている。
それに、まだ周のことを想い続けている。
二年前――周に想いを知られてしまったことをきっかけにと、邸を離れることを提案したのだが。
愛梨は頑として首を縦には振らなかった。
『京くんのこと、途中で投げ出すなって言ったのはお兄ちゃんでしょう?』
その上、そんなことを言い返されてしまっては何も言えなくなってしまった。
とはいえ、このままの状態は余り良いとは言い難い。
愛梨には当然幸せになって欲しいが、周や京にだって幸せになって貰いたいと思う。
二年待っても状況が変わらなかったのだから、周りが変えようとしなければいつまでもこのままだ。
かと言って、子供騙しの嘘を言うのも気が引ける。
だが、周は今もやはり再婚するつもりはないと言っている。
この子に兄弟が出来る可能性は、このままならば非常に低い。
「…父ちゃんに一度、お願いしてみたらどうだ?」
「父さまに?」
「そうだよ。お前の兄弟はお前の父ちゃんじゃないと作れないんだからな」
可愛い息子から直接ねだられれば、流石の周も再婚相手を探す気になるかも知れない。
(そうすれば、愛梨も)
――結局愛梨は、未だに京の世話役を続けている。
それに、まだ周のことを想い続けている。
二年前――周に想いを知られてしまったことをきっかけにと、邸を離れることを提案したのだが。
愛梨は頑として首を縦には振らなかった。
『京くんのこと、途中で投げ出すなって言ったのはお兄ちゃんでしょう?』
その上、そんなことを言い返されてしまっては何も言えなくなってしまった。
とはいえ、このままの状態は余り良いとは言い難い。
愛梨には当然幸せになって欲しいが、周や京にだって幸せになって貰いたいと思う。
二年待っても状況が変わらなかったのだから、周りが変えようとしなければいつまでもこのままだ。