いとしいあなたに幸福を
すると京は父親に良く似た満面の笑顔をこちらに向けてあのね、と言葉を切り出した。

「ほんとはないしょなんだけど…ぼくのおとうとのこと、おしえてあげるよ」

「へ…?」

その言葉に、悠梨だけでなく周も愛梨も、静観していた陽司も首を傾げた。

「京、お前何を…」

「ぼくのおとうとは、父さまとおなじまっかなおめめなんだ。それにね、あいちゃんとゆりくんそっくりのきれいなぎんいろのかみなの。おとうとだけど、おんなのこみたいにとってもかわいいんだ」

「……へえ?」

まるで見てきたかのように明確な特徴を述べる京に、悠梨は少し怖くなった。

「京は何で、そんなこと知ってるんだ…?」

此処まで具体的だと、凡そ自分の望む空想を語っているとは思えない。

京はにこにこと笑顔を浮かべたまま、ちがうよぉ、と首を振った。

「しってるんじゃないよ、わかるんだ。ぼくをうんだ母さまもわかってたんだもの」

「え…?!」

その瞬間、愛梨が驚愕したように声を上げた。

「…愛梨?」

「それじゃあ……都様はあのときから、そのことを言ってっ…?」

一体何なんだ。

愛梨は何か解ったらしいが、周は息子の不可解な発言にまだ難しい顔付きをしたままだ。
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