いとしいあなたに幸福を
「…周さん」

「けどやっぱり、あれこれ余計なこと考えてもそれ以上に…君が好きだ」

そう口にした周の唇が、愛梨のそれにそっと触れる。

「ん…」

愛梨は戸惑いつつも、ゆっくりと眼を閉じて周の腕に縋り付いた。

すると周はそれを皮切りに角度を変えながら、深く貪るように愛梨を攻め立てる。

「んんっ……ふ…」

ぞくぞくと全身が甘い痺れに襲われて、周の袖口に掴まっていないと上手く立てない程に力が抜ける。

周は両手で愛梨の身体を支えてくれながら、一頻りの動作を終えると名残惜しげに唇を離した。

「は…っぁ…しゅう、さ…」

荒い呼吸でくたりと脱力する愛梨を見つめて、周は心底嬉しそうな微笑みを浮かべる。

「愛梨、好きだよ。…愛してる」

そう言ってくれた周の髪が月明かりに透けて、きらきらと白金色に輝いていてとても綺麗だと思った。

まるで自分を今照らしている月の光のように、周がこの身を包み込むように愛してくれているのが解って、胸がいっぱいになる。

自分も、全力で注いでくれるその彼の愛情に負けないくらい、彼のことが心底いとおしい。

「わたしも、愛してます……あなた」

その想いを込めて、愛梨は周にそう囁いた。

「あなたに出逢えたこと、あなたに恋したこと、それから…京くんのお母さんになること。こうしてあなたの腕の中に、いられること。本当なら何一つ叶わなかったことを、わたしはみんなあなたに叶えて貰った」
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