いとしいあなたに幸福を
「愛梨」

再び周の口に名を呼ばれる。

先刻は気恥ずかしさばかりが先立ったが、今はとても嬉しくなった。

「だから、わたしは…わたしの望みを叶えてくれた、あなたのものになりたい」

そう告げながら、愛梨は周の胸元に頬を擦り寄せた。

するとそれに応えるように、周の両腕に優しく、それでいて力強く抱き寄せられる。

次いで、周は愛梨の耳元でそっと、しかしはっきりと囁いた。

「…一生、離さないからな」


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