いとしいあなたに幸福を
「産まれたんだっ…!おれと、愛梨のこども……っ」

「周様、おめでとうございます!」

「周、立ち合いなんかやって腰抜かさなかったか?」

心底嬉しそうな陽司に対して、悠梨は何となくいつもの皮肉げな調子で声を掛けてしまった。

すると周は小さく首を振って、気が抜けたように苦笑いを浮かべる。

「ああ…何とか」

普段のようにこちらに張り合ってくる気力や余裕はなさそうだ。

「それで、生まれたのはどっちだったんだよ?」

「…男の子だ。京の言った通りだよ、髪が愛梨と同じ綺麗な銀色で眼は俺と同じ色なんだ……はは、あの子はずっと俺の子供になれるのを待っててくれたんだな…」

「周?何言ってんだお前」

周の言葉の意図が掴めず首を捻ると、陽司がくすりと笑った。

「周様はね、以前ご自分の御子が二人いる夢を見たんだ。もう六年近く前の話かな…そのときに見た二人の御子の一人が、銀髪だったんだそうだよ」

六年前――京が生まれるより前。

悠梨が周のことを理不尽に殴ってしまったのも、その頃だったか。

「…へえ。愛梨には手を出さないとか言ってた癖に、下心は満載だったってことだな」

「うるせー」

「もういっぺん殴ってやりたいけど、愛梨と京が泣くから勘弁してやるよ」

「悠梨…」
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