いとしいあなたに幸福を
「さてと、そろそろ可愛い妹と甥っ子たちに逢わせてくれるか?お前が其処に立ったままだと通れないんだよ」

「あ、悪い」

恨めしげに軽くねめ付けてやると、周は慌てて端に身を寄せた。

「周」

「ん?」

擦れ違い際に、周の肩に軽く手を触れる。

恥ずかしいから、わざと聴こえにくいようにぼそりと言ってやった。

「…おめでとうな」

驚いて目を瞬く周と、愉快げに口元を押さえて笑いを噛み殺す陽司を尻目に、悠梨は愛梨の元へと急いだ。





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