いとしいあなたに幸福を
「周様はこんなにお優しい方なのに、父はそれを見ようともしないのです。…嘆かわしいことですわ」
占部一族で典型的な高慢な令嬢であったら、恐らくもっと気乗りのしない縁談だっただろうが。
大丈夫、彼女となら、きっと上手くやっていける。
「貴女にそう言って頂けるなら、私はそれだけで充分幸せですよ。有難うございます」
そうすればきっと、あの子への想いは今に薄れてゆく。
大丈夫だ。
「周様…こちらこそ有難うございます」
「さ、邸の中を案内致しますのでこちらへどうぞ」
周が掌を差し伸べると、微笑んだ都の手が慎ましやかに重ねられた。
+ + +
占部一族で典型的な高慢な令嬢であったら、恐らくもっと気乗りのしない縁談だっただろうが。
大丈夫、彼女となら、きっと上手くやっていける。
「貴女にそう言って頂けるなら、私はそれだけで充分幸せですよ。有難うございます」
そうすればきっと、あの子への想いは今に薄れてゆく。
大丈夫だ。
「周様…こちらこそ有難うございます」
「さ、邸の中を案内致しますのでこちらへどうぞ」
周が掌を差し伸べると、微笑んだ都の手が慎ましやかに重ねられた。
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