いとしいあなたに幸福を
「うわぁぁ!!」
少年の起こした強烈な風に弾き飛ばされ、男たちは次々と壁や家具に打ち付けられて昏倒した。
今の一撃に全力を込めた少年は、苦しげに息をつく。
「はっ…餓鬼だからって…嘗めやがってっ…、……!?」
しかし、風が収まった後もただ一人、目の前に立ちはだかる人影を認めて愕然とした。
仲間から架々見と呼ばれていた男だけは全く無傷で、少年を嘲笑うように笑みを浮かべている。
「残念だっだな、小僧…俺も能力者でね。お前程度の操る微風(そよかぜ)なんぞ、簡単に防げるんだよ」
そう言い放った架々見の掌から、底知れない真っ黒な闇が靄(もや)のように溢れ出した。
「…!!」
今の攻撃で持てる力を使い果たした少年は、自身の風を呑み込んだ闇を目の当たりにしてへたりと膝を着く。
それでも背に隠した妹だけは守ろうと、両手を広げて相手を真っ直ぐにねめ付けた。
「ほほう、余程妹が大切なようだな……それならいいことを思い付いたぞ。その小娘は売らずに俺が飼ってやろう」
「…!?」
「どうだ?何処の誰かも解らぬ金持ちの年寄りに買われるよりも、この俺の元で飼われていると解っていれば、これから離ればなれになる兄も安心だろう?くくっ…ははははっ!!」
蛇のように狡猾な眼を細めて、架々見が愉快げに笑い声を上げる。
すると次の瞬間、架々見の身体が動きを戒める旋風(つむじかぜ)に包まれた。
「なっ!?」
「!!」
少年の起こした強烈な風に弾き飛ばされ、男たちは次々と壁や家具に打ち付けられて昏倒した。
今の一撃に全力を込めた少年は、苦しげに息をつく。
「はっ…餓鬼だからって…嘗めやがってっ…、……!?」
しかし、風が収まった後もただ一人、目の前に立ちはだかる人影を認めて愕然とした。
仲間から架々見と呼ばれていた男だけは全く無傷で、少年を嘲笑うように笑みを浮かべている。
「残念だっだな、小僧…俺も能力者でね。お前程度の操る微風(そよかぜ)なんぞ、簡単に防げるんだよ」
そう言い放った架々見の掌から、底知れない真っ黒な闇が靄(もや)のように溢れ出した。
「…!!」
今の攻撃で持てる力を使い果たした少年は、自身の風を呑み込んだ闇を目の当たりにしてへたりと膝を着く。
それでも背に隠した妹だけは守ろうと、両手を広げて相手を真っ直ぐにねめ付けた。
「ほほう、余程妹が大切なようだな……それならいいことを思い付いたぞ。その小娘は売らずに俺が飼ってやろう」
「…!?」
「どうだ?何処の誰かも解らぬ金持ちの年寄りに買われるよりも、この俺の元で飼われていると解っていれば、これから離ればなれになる兄も安心だろう?くくっ…ははははっ!!」
蛇のように狡猾な眼を細めて、架々見が愉快げに笑い声を上げる。
すると次の瞬間、架々見の身体が動きを戒める旋風(つむじかぜ)に包まれた。
「なっ!?」
「!!」