いとしいあなたに幸福を
「…ね、ねぇ愛ちゃん?ところで悠梨くんってどんな女の子が好みなのかなあ?」

あとは時折、兄に気があるらしい先輩からこんなことを訊かれる。

「えっと…」

成長期に差し掛かった兄は、元々背の高いほうだったが最近更に背が伸びてきている。

身内なのでその辺りは良く解らないが、美形と評される顔立ちも更に引き立ってきたらしい。

相変わらず細身ではあるが、以前より腕力も能力も強くなった。

「お兄ちゃん…あんまり女の人に興味ないみたいなんです」

「そっかあ…」

「悠梨くんは駄目よう、愛ちゃん命だもの」

「ちょっと無愛想だけど愛ちゃんには優しいわよね」

…やはり他の人の目からも兄はそう見えるのか。

「二人だけの家族なんだから仕方ないわよぉ。私だって、愛ちゃんみたいな素直で可愛い妹だったら大事にするわあ」

「そうね、うちの生意気な妹とは大違いよ」

「はいはい、いいから早く仕込みを終わらせなさい!この調子じゃ時間がいくらあったって足りないわよ!」

「はぁ~い」


 * * *

 
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