いとしいあなたに幸福を
「愛梨ちゃん、ちょっと私の傍に来てくれるかしら」
「は、はいっ」
兄に偉そうなことを言った癖に、情けない――愛梨は、都にそんな胸中を悟られないよう必死でそう自身に言い聞かせた。
寝台から上体だけ起こして手招く都の傍へ駆け寄ると、空色の眼にじっと眼を覗き込まれた。
「……ぁ…あの、…?」
暫くの間ずっと見つめられ続け、困惑気味に声を上げると都の細い指先が目元を撫でた。
「私、ほんの少しだけ先のことが視えるの。能力者ではないのだけれど、私の一族にはそういう力を持つ人がたまにいるみたい」
「先の、こと…」
都は微笑んで、こくんと頷く。
「私は、本来ならあの人を支えなければならないのに…身体が弱いせいであの人に余計な負担を増やしてしまっている」
「都様」
「そのせいで、あの人はきっと今以上に大変な目に遭ってしまう。なのにそのとき私には、あの人に何もしてあげられない」
独り言のように、寂しげに言葉を紡ぐ都へ愛梨は精一杯首を振って見せた。
「そんなことありませんっ…周、様は…きっと何があっても都様がご一緒なら大丈夫です!だから、ずっと周様のお傍にいて差し上げてください!」
「……有難う、愛梨ちゃん。貴女は強くて優しい子ね…私が貴女と逆の立場だったなら、きっと私は貴女にそんな優しい言葉は掛けてあげられない…」
「えっ…?」
その言葉の意味を推し量り兼ねていると、両頬に都の手が掛かる。
「…貴女に良く似た銀髪の男の子を、夢で視たわ」
「は、はいっ」
兄に偉そうなことを言った癖に、情けない――愛梨は、都にそんな胸中を悟られないよう必死でそう自身に言い聞かせた。
寝台から上体だけ起こして手招く都の傍へ駆け寄ると、空色の眼にじっと眼を覗き込まれた。
「……ぁ…あの、…?」
暫くの間ずっと見つめられ続け、困惑気味に声を上げると都の細い指先が目元を撫でた。
「私、ほんの少しだけ先のことが視えるの。能力者ではないのだけれど、私の一族にはそういう力を持つ人がたまにいるみたい」
「先の、こと…」
都は微笑んで、こくんと頷く。
「私は、本来ならあの人を支えなければならないのに…身体が弱いせいであの人に余計な負担を増やしてしまっている」
「都様」
「そのせいで、あの人はきっと今以上に大変な目に遭ってしまう。なのにそのとき私には、あの人に何もしてあげられない」
独り言のように、寂しげに言葉を紡ぐ都へ愛梨は精一杯首を振って見せた。
「そんなことありませんっ…周、様は…きっと何があっても都様がご一緒なら大丈夫です!だから、ずっと周様のお傍にいて差し上げてください!」
「……有難う、愛梨ちゃん。貴女は強くて優しい子ね…私が貴女と逆の立場だったなら、きっと私は貴女にそんな優しい言葉は掛けてあげられない…」
「えっ…?」
その言葉の意味を推し量り兼ねていると、両頬に都の手が掛かる。
「…貴女に良く似た銀髪の男の子を、夢で視たわ」