いとしいあなたに幸福を
架々見は少年の仕業かと視線を向けたが――少年は何もしていない。
ましてやその背後に隠れた妹の能力でもないようだ。
「これはっ…!?」
そのとき、少年は架々見の背後から風の能力者の発する光の輝きを見た。
その正体は――
「父さんっ、母さん!!」
架々見の仲間の手に掛かった、兄妹の両親だった。
息子と娘を守るために、最期の力を振り絞って力を行使したのだ。
「悠梨(ゆり)…愛梨を連れて、逃げて…!!」
「このことを、街にいる領主様へお伝えするんだ…っ!!」
父の風が、兄妹の身を優しく包み込む――此処から二人を転移させるつもりだ。
「くっ…小賢しい!!」
架々見が戒めの風を破ろうと抵抗すると、術者である母が苦しげに表情を歪めた。
「お母さんっ!」
「っ…愛梨、悠梨と行きなさい!大丈夫よ、お母さんたちはいつも貴方たちの傍にいるから…っ」
「悠梨…っ行け!!」
父の言葉に少年が頷いて見せると、旋風は兄妹を別の場所へと運び出し始めた。
「お父さん…っいや…!!」
ましてやその背後に隠れた妹の能力でもないようだ。
「これはっ…!?」
そのとき、少年は架々見の背後から風の能力者の発する光の輝きを見た。
その正体は――
「父さんっ、母さん!!」
架々見の仲間の手に掛かった、兄妹の両親だった。
息子と娘を守るために、最期の力を振り絞って力を行使したのだ。
「悠梨(ゆり)…愛梨を連れて、逃げて…!!」
「このことを、街にいる領主様へお伝えするんだ…っ!!」
父の風が、兄妹の身を優しく包み込む――此処から二人を転移させるつもりだ。
「くっ…小賢しい!!」
架々見が戒めの風を破ろうと抵抗すると、術者である母が苦しげに表情を歪めた。
「お母さんっ!」
「っ…愛梨、悠梨と行きなさい!大丈夫よ、お母さんたちはいつも貴方たちの傍にいるから…っ」
「悠梨…っ行け!!」
父の言葉に少年が頷いて見せると、旋風は兄妹を別の場所へと運び出し始めた。
「お父さん…っいや…!!」