いとしいあなたに幸福を
誰のせいでこんなことになった?
都の身体が健康であれば。
いや、それならば自分と結婚することもなかった。
何故、こんな年若いうちに結婚をしなければならなかった?
周が他国の令嬢と結婚しなければならなかったのは、独立国である春雷が他国との繋がりを強めるため。
しかし周が各国から見合いを敬遠された一番の理由は、周の年齢が若すぎたこと。
それから父親の素性が知れないことだ。
「…全部、母上が決めたことで、母上のせいじゃないか」
陽司は何も言わなかった。
恨めしげに母への愚痴を漏らす周の言葉を、否定しなかった。
「母上は結局、自分の好きな男が一番大切なんだよ。春雷の政局に、父を巻き込みたくなかったっ…?その代わり俺にどれだけ苦労を強いてるか、まるで解っちゃいない」
周は握り締めた拳を力任せに目の前の卓へ叩き付けた。
ばきん、と天板が歪んだ音と共に、その衝撃で卓の上に乗っていた薬箱とその中身がばらばらと床に散らばる。
「っ…俺だけじゃない、俺と一緒になったせいで都まで不幸にしてるじゃないか!!」
「周様、それは違…」
「違わない!母さんは自分の我儘のせいで俺が苦しむだなんて、一切思ってないんだよ!!」
周は衝動的に勢い良く立ち上がった瞬間、閉まり切っていなかった入口の扉が僅かに揺れたのを横目で見付けた。
「っ誰だ!!」
都の身体が健康であれば。
いや、それならば自分と結婚することもなかった。
何故、こんな年若いうちに結婚をしなければならなかった?
周が他国の令嬢と結婚しなければならなかったのは、独立国である春雷が他国との繋がりを強めるため。
しかし周が各国から見合いを敬遠された一番の理由は、周の年齢が若すぎたこと。
それから父親の素性が知れないことだ。
「…全部、母上が決めたことで、母上のせいじゃないか」
陽司は何も言わなかった。
恨めしげに母への愚痴を漏らす周の言葉を、否定しなかった。
「母上は結局、自分の好きな男が一番大切なんだよ。春雷の政局に、父を巻き込みたくなかったっ…?その代わり俺にどれだけ苦労を強いてるか、まるで解っちゃいない」
周は握り締めた拳を力任せに目の前の卓へ叩き付けた。
ばきん、と天板が歪んだ音と共に、その衝撃で卓の上に乗っていた薬箱とその中身がばらばらと床に散らばる。
「っ…俺だけじゃない、俺と一緒になったせいで都まで不幸にしてるじゃないか!!」
「周様、それは違…」
「違わない!母さんは自分の我儘のせいで俺が苦しむだなんて、一切思ってないんだよ!!」
周は衝動的に勢い良く立ち上がった瞬間、閉まり切っていなかった入口の扉が僅かに揺れたのを横目で見付けた。
「っ誰だ!!」