いとしいあなたに幸福を
足早に駆け寄った扉を乱暴に開け放つと、怯えた桜色の双眸が周を見つめていた。
「ぁ…愛、ちゃん……っ!?」
「ごっ…ごめん、なさいっ……お兄ちゃんが…っ…周さんに酷いこと、したって……だからわたし、謝ろうと思って、それでっ……」
愛梨は震えた声で、懸命に言葉を紡いだ。
周は、目の前の愛梨にどう接すればいいのか解らず視線を泳がせた。
愛梨のことだ、先程の経緯を悠梨から聞いてすぐ来てくれたのだろう。
そのせいで図らずも周の怒声を聞き付けてしまったのか。
「ごめんなさいっ……」
愛梨は後退りすると、くるりと向きを変えて逃げるように走り去った。
「愛ちゃん…!!」
周は後を追おうとしたが、愛梨にどんな顔をすれば、どんな言葉を掛ければいいのか思い付かなくて踏み留まった。
「っ…畜生」
項垂れた周に、陽司が心配そうに歩み寄る。
「周様…」
「いいんだ…俺は、あの子にこのまま嫌われれば」
「え?」
「俺が夢で見た子供のうちの一人はな……銀髪だったんだよ。俺は都を愛してる。都も俺を愛してくれてる。なのに、心の何処かでは未だにあの子を想ってるみたいで…最低じゃないか」
* * *
「ぁ…愛、ちゃん……っ!?」
「ごっ…ごめん、なさいっ……お兄ちゃんが…っ…周さんに酷いこと、したって……だからわたし、謝ろうと思って、それでっ……」
愛梨は震えた声で、懸命に言葉を紡いだ。
周は、目の前の愛梨にどう接すればいいのか解らず視線を泳がせた。
愛梨のことだ、先程の経緯を悠梨から聞いてすぐ来てくれたのだろう。
そのせいで図らずも周の怒声を聞き付けてしまったのか。
「ごめんなさいっ……」
愛梨は後退りすると、くるりと向きを変えて逃げるように走り去った。
「愛ちゃん…!!」
周は後を追おうとしたが、愛梨にどんな顔をすれば、どんな言葉を掛ければいいのか思い付かなくて踏み留まった。
「っ…畜生」
項垂れた周に、陽司が心配そうに歩み寄る。
「周様…」
「いいんだ…俺は、あの子にこのまま嫌われれば」
「え?」
「俺が夢で見た子供のうちの一人はな……銀髪だったんだよ。俺は都を愛してる。都も俺を愛してくれてる。なのに、心の何処かでは未だにあの子を想ってるみたいで…最低じゃないか」
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