いとしいあなたに幸福を
「…身体の弱い私には、結婚も妊娠も無理だと言われていたのだもの。その両方をあなたは叶えてくれた」

ふと縋るように、都の両手に掌を包まれた。

そして、いつもの慈愛に満ちた柔らかな微笑みを周に向かって浮かべる。

「…愛してるわ、あなた」

「ああ…俺も、……」

俺も、愛してる――

そう言おうとしたのに、上手く言葉にすることが出来なくて。

周は都の両手に指を絡ませると、その唇にそっと口付けた。


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