いとしいあなたに幸福を
「そうか…だったら一つ、頼まれてくれないか?」
「?何だよ、また殴らせろとか言ったら今度は殴り返すからな」
「い、いや…これを、愛梨に渡して欲しいんだ」
悠梨は、手にしている菓子の入った手提げ袋を周の前に突き出した。
そんな悠梨と手提げ袋を、周は怪訝そうに交互に見比べて首を傾げる。
「…お前が自分で渡せばいいんじゃねえの?」
「俺じゃ駄目なんだ。…お前じゃなきゃ」
「でも、俺は…」
躊躇する周に、悠梨は苦笑して下を向いた。
「この前、愛梨がすぐお前のところに行ったろ?…あのとき俺は落ち着かない様子でいるところを愛梨に見付かったんだが、愛梨はそんな俺を見て俺が周に何かしたらしいことに気付いたみたいなんだ」
「!」
「で、お前に何をしたんだって問い質された。それで…その勢いに負けてお前を殴ったことを話したら、愛梨に嫌われちまったよ」
「…悠梨」
ふと名前を呼ばれて顔を上げると、周の両手に勢い良くばちんと両頬を叩かれた。
「ぃっ…!!」
「…仕方ねえな。これで貸し一つだ」
驚いて目を瞬く悠梨に、周はくすりと笑って見せると菓子の入った袋を受け取った。
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「?何だよ、また殴らせろとか言ったら今度は殴り返すからな」
「い、いや…これを、愛梨に渡して欲しいんだ」
悠梨は、手にしている菓子の入った手提げ袋を周の前に突き出した。
そんな悠梨と手提げ袋を、周は怪訝そうに交互に見比べて首を傾げる。
「…お前が自分で渡せばいいんじゃねえの?」
「俺じゃ駄目なんだ。…お前じゃなきゃ」
「でも、俺は…」
躊躇する周に、悠梨は苦笑して下を向いた。
「この前、愛梨がすぐお前のところに行ったろ?…あのとき俺は落ち着かない様子でいるところを愛梨に見付かったんだが、愛梨はそんな俺を見て俺が周に何かしたらしいことに気付いたみたいなんだ」
「!」
「で、お前に何をしたんだって問い質された。それで…その勢いに負けてお前を殴ったことを話したら、愛梨に嫌われちまったよ」
「…悠梨」
ふと名前を呼ばれて顔を上げると、周の両手に勢い良くばちんと両頬を叩かれた。
「ぃっ…!!」
「…仕方ねえな。これで貸し一つだ」
驚いて目を瞬く悠梨に、周はくすりと笑って見せると菓子の入った袋を受け取った。
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