この束縛野郎が!!
面倒くさいな
新学期になり、久々に会った友達の優理(ゆうり)。
優理は夏休み中部活一途に頑張ってたんだ。
陸上部に所属している優理は、
運動神経抜群で、ボーイッシュなスタイルと長身、
サバサバした性格なので女子から人気がある。
前に女子が言っていたには『そこらの男子よりカッコイイ』だそうだ。
「なーに。夏休みに面白い事になってるんじゃないか」
夏休み中にもちょこちょこ話したが、
教室で詳しく桐谷の事情を話せば、ニヤニヤしながら聞く優理。
『絶賛面白がり中なう!』って顔が言っている。
「桐谷って5組の桐谷奏多でしょ?
女子皆噂してるよね。見た目爽やかだけど中身は冷たいとか」
「確かに見た目爽やかだけど、強引だし人のプライバシーなんてお構いなしだよ。やっと学校が始まってホッとしているくらいなんだから…」
そう…学校が始まれば一緒に図書館へ行くことも無い。
クラスも違えば会う機会もない。
今までお互いを知らなかったのがその証拠だ。
結局宿題が終わっても、桐谷に図書館強制連行されていたのだが、
夏休み最終日、私がどれほど嬉しかった事か…
………これであの珍妙な夏休みは終わり。
面倒くさい桐谷ともおさらば。
そう思っていたんだ。