この束縛野郎が!!
「あの、藤崎さん…」
優理と話をしていれば、突然掛けられた遠慮深そうな声。
優理と一緒に振り返れば、少し緊張した顔で立っているクラスメートの男子。
「なに?」
返事をすれば男子は一息ついて、
気合を入れたような顔で私の顔を見た。
「あのさ!今度の日曜なんだけ――」
男子の声はそこまでしか続かなかった。
いつの間に人のクラスに来ていたのだろう…
「雪乃、来て」
私と男子の間に入るように現れた桐谷。
桐谷に気づいた女子が若干騒いでいる気がする。
私の腕を取った桐谷はぐっと引っ張るように私を連行した。
桐谷が足を止めたのは人通りが無い廊下の端っこで…
「何なの?」
少し怒り口調で聞けば、
「雪乃が他の男に誘われそうになってたから」
しれっと答えた桐谷。