この束縛野郎が!!
桐谷の事は最初から嫌いではない。
面倒くさい性格と、
自分勝手な強引さと、
犯罪的な発言と、
私に対しての束縛癖が無ければ…
多分元々好むものが似ているらしい私たちは、
そんな桐谷の異常さが無ければ『友達』として成り立てただろう。
「ねえねえ!雪乃ちゃん!」
休み時間、優理とボーっと話をしていれば、
クラスメートの吉村さんの元気な声。
背が低くて、目がくりくりで、
明るい茶の肩まで伸びた髪の毛はパーマが掛かってふんわりしている。
小動物なイメージだ。
私とも優理ともタイプが違う。
そんな吉村さんとは、そんなに会話をした事がないが、
フレンドリーな性格らしい。クラスの女子皆を名前で呼んでいる。
「なに?」
「雪乃ちゃんにずっと聞きたかったんだけどさ!
やっぱり雪乃ちゃんと桐谷君って付き合ってるの?
今日2人で廊下歩いて居るの見ちゃった!」
ニコニコうきうきという効果音が付きそうなくらい笑顔な吉村さんは、
私と桐谷の事を聞いてきた。
「付き合って……ないけど……」
何故か歯切れが悪い感じに答えたのは、きっと吉村さんのニコニコに圧倒されたからだ。