この束縛野郎が!!
その『面倒くさい事』がこの校舎にあると思うと、学校も億劫に感じてしまう事がある。
玄関に着いて自分の下駄箱まで行けば、
私のクラスの下駄箱の…詳しく言えば私の下駄箱のある列のすぐ横で、
下駄箱に背中を凭れさせて腕を組む男子。
通って行く生徒が彼をチラチラ見ていくのは、
彼が結構整った容姿をしているからか、
他のクラスなのにうちのクラスの下駄箱に居るからか、
彼がとても不機嫌なオーラと顔をしているからか…
絶対全部だろう。
彼をこの目で確認した瞬間、足を止めて外へ出ようとしたが、
私が背を向けるよりも早く、私に気づいた彼は、
「ゆ~き~の~」
不機嫌かつ低い声で私を呼んだ。
……ああ……捕まった……