この束縛野郎が!!
「うん。面倒くさがり屋だもんね、雪乃は」
同意するように頷く優理。
「本当面倒くさいの桐谷。
離れてくれれば面倒くさいの無くなるのにって思ってた」
夏休み一緒にやった宿題。
どうやら成績は似たり寄ったりだったようで、
お互い自分が出来るところはやって、分からないところは聞きあって、
それが普通だった。
宿題が終わってからも図書館に来させられて、
最初は「炎天下の中歩いてくるの面倒くさい」って言ったけど、
いざ来始めると、本の好みが似ているらしい私たちは、
お互いが読んだ本を勧めたり、閉館ギリギリまで涼しい部屋で本を読んでいた。
桐谷の隣は落ち着いたんだ。
桐谷が席を外した時は別として、2人で座っていれば誰も話しかけて来なかったし。
「私、桐谷の束縛とか強引なところとか面倒くさいところばかり見つけてて、
2人でいた時の心地よさとか居やすさとか…それを当たり前だと思って見逃してた」
新学期になって、彼氏でもないのに私の事束縛してて、面倒くさい事ばかり言って、
でもそれが桐谷なんだって受け入れて慣れたら、
何だか『これが桐谷の当たり前』って思えて………
「雪乃、今のあんたにこの言葉を……
『嫌よ嫌よも好きの内』
『本当に大切なものは失って初めて気づく』
雪乃さ、今桐谷の事どう思ってるの?」