この束縛野郎が!!
混乱した顔の桐谷と、
勝ち誇ったような笑顔の私。
偶然居合わせて聞いてしまい立ち止まった沢山のオーディエンス。
私は混乱したままの桐谷にずかずかと近寄ると、
桐谷の首に手を回し、背伸びをして唇にキスをした。
チュッと触れるだけのキスだけど、
この大勢の人が見ている仲での醜態って事で勘弁してほしい。
すると我に返った桐谷は、
キスの後に一歩下がった私をがっと自分の腕で捕まえると、
その中に閉じ込める。
「雪乃雪乃雪乃雪乃雪乃」
私の頭の上で名前を呼び続ける桐谷の声は掠れていて。