【短編集】あいとしあわせを祈るうた
またまた意外…杉本君、草食系なんかじゃない。
情熱系だわ。
「へえ…で、元カノ振って、新しく好きになった人には告白したの?」
私は身を乗り出して訊く。
「いや。今んとこ」
杉本君は自信なさげに頭を掻いた。
「ダメよ〜言わなきゃ」
「うん…年明けて、山梨から帰ってきたら言おうかなって…」
小さな声でもじょもじょ。
それに反比例して、私の声は大きくなる。
「ね、その人、どんな人なの?カワイイ系?キレイ系?幾つなの?」
「さあ…なんだろ?そういうのよく分からないけど…キレイ系かな?」
杉本君、スノボの時より真っ赤になった。
「年は俺より上です…」
ふと。
そのセリフを聞いた瞬間、私の脳裏に何かがよぎった。
「もしかして…それ…?」
杉本君は観念したような目をして告白した。
「はい。さやかさんがよく知ってる人です…」
私は手のひらで口元を覆う。
あまりの驚きに全身に鳥肌が立った。
「やだあ〜!もしかして、美紀?
井上美紀なの?」
私の絶叫に、周りの人がびっくりして、こちらを一斉に見た。
「やっぱ、俺なんかじゃ無理ですよね…部下だし、男として見れないか…」