【短編集】あいとしあわせを祈るうた
私はクマを抱いたまま、ベッド・ルームを出る。
リビングのソファーに冬馬が横たわっていた。
長い脚が窮屈そうに折り曲げられている。
おはよう。
こんなところで寝てたんだ。
「あ…さやか。おはよう」
私の気配で冬馬は目を覚ました。
『冬馬くん!』
私はクマを冬馬の方に突き出して、腹話術をする。
『さやかちゃんにネックレスありがとう。忘年会、楽しかった?
さやかはすっごい楽しいクリスマス・イブだったよ!』
「マジか?
俺が一緒じゃなくて、淋しかったって言えって言っとけ!」
冬馬は、ふざけてクマに軽いパンチを食らわした。
【END】