【短編集】あいとしあわせを祈るうた
…あーそうか。
私達のコテージには、もう入れないからね。
チェックアウトしたから、今頃、
ルーム係のおばちゃんがお掃除中だね。
飛行機の時刻が少しずつ迫る。
シンヤが果てた。
私はシャワーを浴びる。
旅が終わってゆく。
淋しいな。
名残惜しいけど、仕方ないね…
シンヤ元気でね。
見た目、チャラいけど、根は真面目。
もしかして、大学デビュー?
どうせ、彼女いるくせにって思ってたのに。
ブラジャーのホックを後ろ手に留める私に、シンヤはベッドで寝そべったまま言った。
「りな、アド教えろよ。
横浜かどっかで逢おうぜ」
あらら?
「セフレにする気?
そんなもんいらないんだけど~」
私の軽口にシンヤは、
ははっとウケて笑う。
目尻が下がって、ハの字みたくなる。
あー、綺麗な白い歯。
羨ましい。
「教えないと、りなのパンティ、
返さない。形見に貰うから」
「何それ?すごい脅し文句。
どうせ、私達が帰ったら、すぐに他の女と仲良くなるくせに〜」
「ならねえよ」
あ、なんか卑怯。
そんな悲しげな目しないでよ…
ま…いっか。
…ちょっとだけ…暇つぶし。