【短編集】あいとしあわせを祈るうた
ーーFake Nameーー





1週間後。


シンヤからの逢いたいメールで、私達は再会した。


「りな。久しぶり」

「エッ…シンヤ?」


シンヤの髪は短く黒くなっててビックリ!
見違えた。

大きめの耳に光っていたシルバーの軟骨ピアスもごつい指輪も、ないじゃん。


黒いTシャツにGパン。

シンプルだけど、チェーンの付いたベルトがオシャレ。


逢うなり「腹減った、少し早いけど、夕飯、食おう」って言い出して、私達は、そのまま駅ビルのエレベーターに乗る。


最上階に着くと、シンヤは、正面にある焼肉屋に脇目も振らずに入っていく。


あー…こいつ。

あの時の私の話、覚えてるんだね。



メニュウを広げ、さっさとおばちゃんに注文するシンヤ。

カルビに上ロース、ミノ、豚トロetc
何、この強引さ…まあ悪くはないけど。


「普通、こういう時、何がいい?
パスタ?とか色々訊かない?」


オーダーが済んだあと、私が皮肉っぽく言うと、シンヤは首を傾げた。


「訊かねえ。りなの顔に焼肉食べたいって、書いてあったから」


へ……?
どんだけ私、肉食獣よ?




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