【短編集】あいとしあわせを祈るうた
砂肝とニンニクの芽の炒め物と、私の生キウイ・ハイを追加オーダーしたばかり。
私は杉本君とこの店で『続投』するしかなかった。
出逢ったばかりの男の子とサシで飲むことになるなんて…
知らない人は苦手だ。
杉本君は決して悪い子じゃなさそうだけど、無口な感じだし。
話題に困るなあ…
と俯く私。
しばらくの沈黙のあと。
「すごいチームワークですね」
いきなり杉本君は言った。
私は彼を見る。
なぜか彼の表情は、緊張が解けたようにリラックスして見えた。
「…何が?」
「乳首コンテストの話ですよ」
「チ、チームワークってゆうのかなあ?そんなの!」
「俺だったら、出せないです。
そんな、いきなり。
水着になるわけでもないのに。でも、その場にいたら、出せるのかな?」
つぶやくような静かな口調で言い、左手で白いYシャツ越しに自分の乳首辺りに触れる杉本君。
なんだか可笑しかった。
クスッと笑ってしまうと杉本君は
恥ずかしそうに「あ、すいません。女性の前で」と手を下にやった。
紳士的な態度に、私の警戒心はゆるゆると溶けていく。