candle
white
もう、好きになっていた。

一瞬だけ、毎日逢っていた。
逢うと言っても…

毎日、会社に速達の郵便物を
届けてくださる郵便屋サンに
受取印を押す…ということだけ。

私は定期的に届く郵便物を持って
そのまま総務部人事課へ渡す。

それだけが仕事ではないけれど
受付に居る私には、これも
大事な仕事となる。

いわゆる、入社書類の束で…
履歴書と自己PRの書類。

いつもその、書類の封筒だけ、
見ていたのに、ふと、郵便屋サンに
声をかけられたのだ。

「ゆび、どしたんですか?」

私の右手の人差指のゆび先には
絆創膏を1個だけ貼っていた。

答えようとしているのに、
少し沈黙となってしまった。

郵便屋サンはニコッと笑った気がした。
そして絆創膏のテープ部分を
そっと触ってきた。人差指で。
「これ。」
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