candle
…見られてたんだ…?
嬉しいけど、恥ずかしいけど…
また緊張してしまう…。

緊張がほぐれたのは…
ライトにあたる紅葉を見た時だった。

「亜貴サン、ここです。」

車のヘッドライトを消されて
暗闇のなかから紅葉だけ見えた。

車の中からみえる紅葉は
工事中の車しか通らないような
砂利道を抜けて走ってからある
舗装されていない駐車場で

ライトアップされているわけではない
外灯がただ当たっているだけの
紅葉だったのに、ものすごく…

「綺麗…。」

車内には私の好きな音楽が
流れたままで…曲と合っていた。

真っ赤な紅葉と
落ち葉と、茶色の枝も綺麗だった。

隣に大輔サンが居ても
やっと、緊張はほぐれていた。
「ちょっと…降りましょうか。」

静かに車を出たら…
秋の風はひんやりしていた。
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