candle
「えっと、紙で…切ったんです。」

私の声は、郵便屋サンへ
届いてくれたのだろうか。
とても小さな声だった気がする。

そして、その郵便屋サンの声は
すごく…低くて優しい声だった。

こんな優しい声されてるんだ…?
と思った時にはもう、
私に背中を向けて、歩いていた。

受け取った荷物を持ったまま
静かに郵便屋サンを見送った。
エレベーターに向かう背中を
見つめてるだけだけれど。

恋の始まりなのかもしれない。

受け取った荷物を階段を使って、
1階上の総務部へ向かった。

一瞬、ヒトリになれるトコロで、
私は思わず照れてしまった。
…だって、あの一瞬で…もう…。

また、明日、来るであろう郵便屋サン
…また逢えるのかなぁ。
…また声聞けるかなぁ。

心が温かくなって…仕事も何故か
楽しく取り組んだ。

私ってば単純すぎるかも。
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