candle
今までも毎日お逢いしてたのに
気にとめていなかった。

背が高いなぁとは思っていた。
歩き方もペンギンみたいな。
うまく表現できないけれど
雰囲気も、柔らかそうと思った。

雨の日はカッパを着ていて、
晴れている日も曇りの日も、
届けてくれた。
…そして受取印を押す。

そんな些細な毎日を思い出す。

入社書類は秋から冬にかけて…
少しずつ、ほぼ毎日届く。
今はもう、冬の手前だった。

でも、恋なんてまだ言えない今は、
仲良くなりたいって思っていた。

まだ名前も知らない郵便屋サン。

これから温めていく想いに
毎日が楽しくなってきた。

なんて思って、笑ってしまった。

そっと絆創膏を貼ってある
右手の人差指を左手の人差指で
ぼんやり思い出しながら
軽く触れてみた。

…郵便屋サンがこんな風に触れた。
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