押し殺す【短篇】
彼女の命が尽きる日、五月二十四日は快晴だった。

ジリジリ、と陽光が肌を焦がしそうだ。


セシウム王宮までは一時間程度を要し、歩いていると汗が滴り落ちてきた。


涙のようであり、涙とは全然違う。

そういえば、最後に涙を流したのは十年以上前の出来事だったのか、と彼女は追憶した。

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