押し殺す【短篇】
「今の心境は?」

王が直々に、問い掛けてくる。

「特に何もありません」

彼女は、答えた。

不安を隠そうとしているのだろう、とほくそ笑む王。


彼女は思う。

どうせ自分は死ぬのだ。

変えようもない事実を、どう感情で表現しろというのだろう。

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