押し殺す【短篇】
「お帰り、帰ってたの?」

背後からの声に、びくっとする。

「うん」

「買い物、重たかったんだから。荷物を運ぶの、手伝ってよ」

「いいよ」

――危なかった。間一髪の所で、母に招待状を見つかりそうだったのだ。


封筒をスカートのポケットにねじ込むと、彼女はスーパーの袋を手にした。

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