カラッポの君-恋計画-
「何が?」
あたしの問いに、
「ワタルの凍った心が、溶けるとき?」
言いながらガリガリと氷をかじった。
「……よくもそんな臭いセリフを」
ワタルは顔を背け、恥ずかしそうにする。
「…あははっ」
堪えきれず、あたしは笑った。
おかしかったからじゃないんだ。
テツとワタルが、羨ましかったから。
微笑ましかったから。
強い絆を、見せ付けられた気がして。
テツはワタルが好きなんじゃないかとさえ思った。