カラッポの君-恋計画-
ドサッ―
「…っぶね」
あたしは勢いよく車道に倒れこんでいた。
自分の力ではなく、今あたしの下敷きになっている、この男の人のおかげで。
「あ、あの……」
「ちっ」
え――?
「何やってんだ。俺」
ぼそっと聞こえた声は、確かにそう言った。
「あのっ!!」
立ち去ろうとする男の人の服を、あたしは思わずつかんだ。
「……何」
目線も合わせず、低い声で言う。
「ありがとうっ」
「……」
「助けてくれて」